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Chiharu

Tatsuya Kitani

きみのかみにふゆののこりかがあった
ほろにがくて、けむりみたいなあいすぶるーで
ぼくのかみにはるのはなびらがついて
わらいあっていたこと
もうずいぶんまえのことのようにおもえる

あまりにももろくて
ただちりゆくきせつのおさないこいを
むねにだいてあめをまつ
はなびえのひ、またひとつはるめいていくから

さらさらとほほをなでる
はるのあめにまたきみをおもいだす
うすももいろにかすんでいくひかりのたばをつかんだら
はなだよりがもうきこえる

ひるさがりのまちはぐれいすけーるのうみ
こぬかあめだ
かさをさしたってしかたないね
わらうきみのながいまつげをすべった
しずくになれたら
そんなくうそうさえなつかしくおもえる

ぼくらのじかんは
ただちりゆくきせつとともにすぎていった
きずけばきみのせなかははるがすみのむこうがわ
にげさってしまった

さらさらとほほをなでる
はるのあめにまたきみをおもいだす
あすふぁるとににじんでいく
はなびらひとつひろうたび

なんどもふみつけられてよごれてもなおあざやかなももいろが
あのひからいろのないきりにとらわれた
ぼくのめにはまぶしすぎたよ
きせつがせんめぐっても、またここにもどってこようとおもう
はなびえのひ

さらさらとほほにつたう
しずくはもうあふれてしまって
けしきぜんぶがにじんでいく
きみのせなかがみえたきがした

さらさらとほほをなでる
はるのあめにまたきみをおもいだす
うすももいろにかすんでいくひかりのたばをつかんだら
はなだよりがもうきこえる

ぬるいかぜにふゆののこりかがあった
なんどだって
きみのいないはるをあるいていくよ